先日、突然上司に呼び止められ
「昔会社にいたAさんのこと覚えているか?優秀だったよなぁ!今は出世しているみたいだぞ。」
Aさんとは、今は転職してしまった先輩のこと。
Aさんは私が入社した時に直属の先輩でとして面倒を見てくれた方で、今でも尊敬する先輩でもあり、私が今でもこの会社で12年も粘ることになったきっかけの人物でもあります。
特に学びもない内容になりますが、Aさんとの話をさせていただきます。
炸裂 勢いが止まらないAさん
今の会社に入社して、最初に自分に目をつけてくれた人がAさんだったと思います。
Aさんは他の社員だれよりも人一倍やる気があり、実際仕事もできて、なんでもバリバリ仕事をこなすタイプの方でした。
しかしおっちょこちょいな面もあり、自分を包み隠さないところが人を引き付けていた気がします。
当時、自分たちがいた部署はできて3年目くらいの部署で、方針が定まっていないというメチャクチャな部署でしたので、周りからの風当りも強く、なんとも肩身の狭い環境でした。
そんな中、Aさんは弾丸のように他の部署の人とコミュニケーションを取り、時にひどい言葉を投げつけられながらも、この部署の会社の中でのポジションを作り上げてくれました。
当時の自分は今以上に世間知らずで尖っていたので、自分今考えるとなかなか型破りな発言もいっちょ前にしていました。でもそんな発言もAさんはおもしろいと聞き入れてくれました。
Aさんは、できたばかりの部署をどう生かしていくか、どんな部署にするか必死に考えていました。
そんなAさんに自分は頑張ってついていこうとしていましたが、自分もギリギリの状態でしたし、Aさんの思想に追い付けないことが多々ありました。
ただ、それは自分だけではなく、周りのメンバーも同じだったのです。Aさんの同僚、先輩も追いつけない。
一番致命的だったのは、年の離れた課長や部長クラスの上司たちでさえ、Aさんが思い描く部署の未来像を思い描けなかったこと。
最終的に当時の部長(後に社長となる有力者)が放った言葉が
お前の思い描く姿は、この会社で実現することは難しい。できたとしても当分先だ。
その半年後、Aさんは会社を去りました。
自分とは違う次元で進化し続けるAさん
Aさんの退職を、私はひき止めることはできませんでした。
Aさんには先輩としてずっと近くに居て欲しい。でも、部長が言う通り、Aさんはここにいる人ではないのだろう。
Aさんは、退職後しばらくは仕事のツテでバイトをし、半年ほどしてから転職しました。
誰もが知る、日本のある程度大きな都市にはどこにでも店舗展開している大手企業です。
さすがのAさんでも最初は苦戦していました。いままで経験したことがない業務の数々。
自分を追いこんで没頭するタイプでしたから、終電で帰ってほぼ始発で出かけるみたいな無茶な働き方もしていました。
始めのうちは、同期に置いて行かれているという話を聞いていましたが、5年ほど経ったころには首都圏の大型店舗の店長に、気がつけば新しく出店する旗艦店舗で展開する新規事業のリーダーに、今では開発チームとトップになっていました。
衝撃だったのは、某TV番組でAさんが勤める企業が取り上げられた際、ストーリーのほぼ主役としてAさんが登場したこと。また某バラエティ番組でその企業が取り上げられた際も、Aさんがスタジオにいました。
Aさんが転職していって2~3年目までは、定期的に遊んだり食事をしたりしていました。自分の勤める企業にはない、大企業の思想や仕組みを聞いて驚いたり、刺激をもらっていました。
だけどAさんが昇進するにつれ、だんだんとAさんが遠くの人になっていってしまい、連絡を取るのもためらうようになっていきました。
もはや、立場も環境も次元が違いすぎたのです。
自分の仕事のグチなんて、Aさんからしたらハナクソ程度。
あぁ。これは話が合わなくなってきているのかもしれない。
自分の力不足が原因であることは明らかなのですが、寂しい気持ちになりました。
自分にも環境の変化
Aさんとは年に1回連絡を取るか取らないかと日々が続いていたころ。
私は私で職場のピンチに遭遇していました。
いろんなことがあり人が退職したり、異動になったり、部署内で先輩がいなくなり、後輩が増え、今まで経験したことがない状況に置かれることとなり、非常に苦しみました。
自分が後輩をまとめないといけない立場に立ったことがなかった私は、若い後輩とのコミュニケーションの取り方がわからず、うまくまとめられなくて困っていました。
そんな時、ふとAさんを思い出し、LINEしてみました。
”後輩をまとめるためにはどうしたらいいですか”
自分が後輩の立場になって考えればわかる。どういう風に言われたら嬉しいか、どんな事されたらついていかないか。
少~しだけ先輩に近づけたかも?
正直、当時の自分にはイマイチよくわかりませんでした。
だって、今まで先輩は頼りがいある人もない人もいて、でも私はとりあえず先輩についていっていたし、部署としてやりたいことは自分で進めていたし、評価されるされないとか無かったですし・・・
だけどそれから2年後。最近になって、ようやくわかってきました。
当時の自分にはまだ覚悟がありませんでした。「上に立つ」という覚悟が無かったんです。
だって、役職みんな同じだしぃ~、歳も近いしぃ~ってなかんじ
「なんで自分がこんな目にあわなきゃいけないんだよ」と、心のどこかで思っていました。
時間はかかりましたが、自分はようやくヒトを育てよう、部署をこうしていきたい、と思えるようになってきたようです。
ほんの少しだけですがAさんが今いるフィールドに近づけたような気がする。
Aさんに久々にLINEしてみました。
Aさんから返ってきた返事は
「ぎんちゃん(私)も大変な立場だね。楽しいじゃん。」
なんてことはない内容ですし、どういう意味で送ってきたのかはわかりませんが、なぜかちょっと嬉しかった私。
「偉くなったからって私を置いていかないでくださいよ。コロナあけたら遊んでくださいね!」
Aさんと美味しい酒が飲める日までに、もっと精進しなければいけないなと心に誓ったのでした。